Project 01

Hareza池袋

都市開発 × カルチャー
まったく新しいコンセプトの
街づくりを担う

東京都豊島区は、老朽化した庁舎を南池袋に新築し、移転することを決定。跡地となる池袋東口公園付近の再開発について、事業者選定のための公募プロポーザルを実施することにした。公募にあたり豊島区は、旧庁舎とともに解体される豊島公会堂と区民センターを代替する施設の建設と同時に「多様な文化に彩られた賑わいのまち」を実現する提案を求めた。サンケイビルの資産開発部に着任して1年になる水谷英章が入札に向けて動いた。

経営管理部経営企画グループ 次長

水谷 英章

2011年入社
体育学群 卒業
キャリア採用

PROFILE

2011年に中途入社。事業戦略部や経営企画部でサンケイビルグループ関係会社の経営管理等を担当。2013年に資産開発部に異動。Hareza池袋の事業提案を担う。2016年から経営管理部経営企画グループに所属して経営企画・財務を担当。趣味はスポーツと旅行。最近はパズルにはまり1000~2000ピースの作品を家中に飾っている。

この入札だけは絶対に
勝たなければならないと思った。

水谷にとってサンケイビルは2社目となる会社だ。もともと企業経営に興味があり、サンケイビルでは事業戦略部や経営企画部を歴任、その高い視点から事業企画に取り組むことを期待され、資産開発部に異動した。開発事業に一段と力を入れていくための体制強化の一環だった。ある日、思いもよらない話が持ち込まれた。「大手町連鎖型都市再生プロジェクト」で顔見知りになっていたある会社の開発担当者がこう言うのだ。「豊島区で大きな事業提案の機会があります。一緒にやりませんか? “賑わいの創出”がテーマなので、メディアに強いサンケイビルさんと組んでおもしろい提案がしたいんです。ただし、提案まで1年しかありません。」
区に対して70年分の定期借地料を前もって払うというスキームで、総投資額は過去にサンケイビルが取り組んだプロジェクトの中でも5本の指に入るという未体験の大型案件だ。しかし水谷は絶対にやるべきだと思った。メディア系コングロマリットとしてのフジサンケイグループ(FCG)の強みを存分に活かせるプロジェクトである。「うちがやらないで誰がやる、と思いました」と水谷は振り返る。

アイデアや助言が続々と。
メディアグループとしての強さを
再確認した

時間がない。水谷は走り始めた。フジテレビジョンやポニーキャニオン、彫刻の森美術館などのグループ各社を足繁く訪ね、アドバイスやヒントをもらいながら企画を詰めていく。デベロッパーの世界では得られないユニークな助言が次々と寄せられた。共同事業者とまとめた最終提案書の扉には「多彩なジャンルが365日演じられる7つの劇場と公園・ストリートが一体となった誰もが輝く劇場都市」というタイトルが掲げられた。
提案をまとめる一方、水谷はサンケイビル経営層の説得も行わなければならなかった。実は最終のゴーサインはまだ出ていなかったのだ。「時間がないのでとにかく企画を先行しました。サンケイビルの未来が掛かっている。その思いだけで突っ走っていたんです。しかし社内は一枚岩ではなかった。なんといっても投資額が大きいですからね。さらに、メイン棟に組み入れたオフィスの需要について慎重な意見もありました。もう必死でした。当社がこのプロジェクトに取り組む意義を語り続け、オフィス市場調査なども実施して、行けます、やりましょうと、訴え続けました。」

攻めた提案で落札。
価格で負けても企画の質で勝った。

公募プロポーザルには大手のデベロッパーなど複数社が提案書を提出。2015年2月に各事業者がプレゼンテーションを行い、審査結果を待った。
翌3月の月末に近いある日の午後、共同事業者からの電話を受けたのは水谷である。
「水谷さん、やりました! 勝ちましたよ!」――弾んだ声が聞こえてきた。金額は1位ではなく、区に対してもっと高い金額を提示したところも数社あったのだが、事業企画内容で大逆転したという。「他の事業者の“賑わい施設” は、ほぼ飲食店と物販店舗に限られていたそうです。これでは従来のオフィスビルにある商業空間となにも変わりません。私たちだけがプロのアーティストから一般区民まで、全員が楽しめるエンタテインメント空間を提案できた。さらに、FCGを巻き込んだオープニングイベントや、取り壊す建物の歴史や文化的な価値を回顧し、どのように受け継がれていくのかを示すという彫刻の森美術館からのアドバイスで盛り込んだ継承イベントも評価されました。まさにサンケイビルだからできた企画だったと思います。」

サンケイビルのステージは
Harezaを経て確実に一段上がった。

2015年春、公募プロポーザルで優先交渉権を獲得したのを見届けてまもなく、水谷自身はビル事業の戦略考案を行う業務に従事。2020年のグランドオープンは、現在の部署で見届けた。「Harezaの事業者認定以降、須磨海浜水族園・海浜公園の再整備事業の代表企業として選定されるなど、当社はFCGならではの提案力豊かなデベロッパーとして、確実に地歩を築いてきたといえると思います」と水谷は晴れやかな表情で語る。「慎重論もある中で突っ走らせてくれた上司や、グループ会社で企画の知恵をくれただけではなく、全力で協力してくれた方たちにも感謝しています。FCGにはおもしろい人がたくさんいますね。」
新しいことに挑戦しながら軽快なフットワークで走る――FCGに所属するデベロッパーならではのサンケイビルのマインドと環境を活かしながら、水谷は次のチャレンジへと向かう。

(2021年11月インタビュー)

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